
八重おばあちゃん
ちょっとちょっと、聞いてよ、松尾市長。

松尾
おや、おばあちゃん!

八重おばあちゃん
孫がいつもお世話になってるようで。

松尾
ああ、7人兄弟のおばあちゃんですか。今日は、お孫さんの代わりですか?

八重おばあちゃん
高齢者のことだっていうから、私が代わりに聞きに来たんですのよ。孫は甘く育てられたから、突っ込みまで甘いもので。

松尾
それはそれは、どうぞお手柔らかに。

八重おばあちゃん
「不老不死は人類の夢」というわけではないんですけど、私らが子どもの頃は、長生きするのはいいことだと思っていたんですよ。それなのに今では長寿は悪いことのような風潮で、まったく嘆かわしいことですわ。

松尾
いやいや、ご長寿は素晴らしいことです。
ただ、大切なのは健康長寿、つまりお元気で長生きされることです。

八重おばあちゃん
確かに、誰しも寝たきりにはなりたくないですよ。やっぱり健康が一番!
医療費も減らせるし。

松尾
お気遣いありがとうございます。実は30年前の鎌倉市の扶助費は26億円だったのですが、今では5.4倍の141億円に膨れ上がっているんですよ。

八重おばあちゃん
あれま、そんなに!

松尾
だから、元気なお年寄りが増えると、ご本人やご家族はもちろんのこと、市全体がハッピーになれるんです。

八重おばあちゃん
なるほど。でもねえ…

松尾
おや、何か気がかりでも?

八重おばあちゃん
健康で暮らしたいのはやまやまですけど、では、どうしたらいいんです?
何か若返りの秘策でも…

松尾
私は、運動と交流が大切だと思っているんですよ、おばあちゃん。

八重おばあちゃん
確かに。

松尾
そのためのきっかけづくりになればと思って、地域の老人福祉センターがあります。これまで市内に4カ所でしたが、2017年4月に5カ所目をつくりました。センターで健康体操をしたりお仲間とおしゃべりを楽しんだり。外出のきっかけがあるだけでも、気持ちに張りが生まれませんか?

八重おばあちゃん
それはその通りですけどね、市内にたった5カ所ですか? 私の家からじゃ、一番近くてもバスを乗り継がないと行けないんですよ。

松尾
はい、おっしゃるとおりです。まだまだ数が少ないと思いますし、もっと気軽にどなたでも利用できるようにしたいと考えています。

八重おばあちゃん
せめて町内にあれば毎日だって行けるんだから、もっとたくさんつくってくださいよ!

松尾
はい、わかりました。今考えているのは、空き家を活用して地域の皆さんが集まれる仕組みをつくったり、市民活動や社会参加の場をつくったりすることです。

八重おばあちゃん
とかく私らは出かけるのがおっくうだから、ご近所にそういう場所ができるとうれしいわね。孫も一緒に行っていいんでしょ?

松尾
もちろんですとも!
お年寄りとお子さんが自然に交流できる場は、今後、どんどん増やしていきたいと思います。